Only Sense Online -オンリーセンス・オンライン- キャラクター人気投票第1位ユン アロハ座長書き下ろしスペシャルショート・ストーリー『スクショコンテスト』
 OSOでは、現在【スクショコンテスト】と銘打たれた企画が行なわれていた。
 企画内容は、OSO内で撮影されたスクリーンショットを募集し、運営に投稿された奇跡の一枚スクショが入選した場合、投稿したプレイヤーにOSOの限定アイテムが進呈されるというものだ。
 そのコンテストに投稿するスクリーンショットを選ぶため、または新たなスクショを撮るために、俺たちはクロードのお店である【コムネスティー喫茶洋服店】に集まっていた。
「こうして見ると、色んなスクショを溜め込んでいたんですね」
「そうね。それにプレイヤー毎に撮るスクショって個性が出るわよね」
 俺とマギさんは、テラス席で一緒にコンテストに投稿するスクリーンショットを探すついでに、今まで撮った画像を整理していた。
「ユンくんは、綺麗な風景や可愛いMOBのスクショが多いわよね」
「そうですね。マギさんは、カッコイイ装備とか武器のスクショや戦闘の一場面を撮ったものが多いですよね」
「そうね。参考になるデザインや自分の作った装備を記録用に残しているわ」
 こうして見ると、プレイヤー毎にスクリーンショットを撮りたいと思う瞬間が違うようで面白い。
 マギさんと一緒にどのスクショがいいか選んでいると、お店の奥からトウトビが疲れた様子で戻ってきた。
「トウトビ、お帰り。お茶でも飲むか?」
「……はい。ユンさん、頂きます」
 俺とマギさんとは別に、ミュウのパーティーのトウトビも喫茶店の奥、洋服店側から戻ってきた。
「……あっ、その風景綺麗ですね。ユンさんが投稿するスクショですか?」
「その候補の一つかな。場所は、北東にある滝壺のスクショで、この場所って午後2時の短い時間帯だけ、太陽の位置と滝の水飛沫が上手い具合にあって綺麗な虹ができるんだ」
 その時は、その虹が架かった滝の写真を収めるために、一時間ほどその場所でスタンバイしていたのを思い出す。
「……こっちのは、マギさんのスクショですね」
 俺とマギさんが見ていたスクショもトウトビに見せて、お茶を飲みながら意見を聞いたりする。
 そして、そんなトウトビに俺が尋ねる。
「トウトビは、コンテストに出すスクショってもう決まったのか?」
「……その、私は、あまりスクショを撮るのも、撮られるのも苦手なんで、私が投稿するものがなくて……」
 あー、と俺とマギさんは納得の声を上げる。
 人に見られることに苦手意識があるトウトビが持つスクショが極端に少ないのも理由の一つだが、折角のスクショコンテストなので手持ちのスクリーンショットではなく新しいコンテスト用のスクショを作れないか、とミュウたちはここに集まったらしい。
 そのために可愛いコーディネートの衣装でポーズを撮ったり、そうした衣装で躍動感のある戦闘のスクショを確保するなど色々と画策しているようだ。
 ミュウのパーティーは、全員が美少女なので、クロードがノリノリで装備や撮影スポット、シチュエーションなどの相談を受けている。
「……その、ミュウさんたちからの貰い物のスクショなら沢山ありますけど、見ますか?」
「あっ、ミュウたちが普段どんなことしているのか、興味あるかも」
「いいわね。私にも見せて欲しいわ」
 トウトビ自身が撮影したスクショではないが、ミュウやルカートたちからの貰い物スクショなどを俺とマギさんに見せてくれる。
 そのスクショ内容は——
「ちょ、これは迫力あって怖いな。MOBに正面から襲われてるスクショだよな」
 俺は、普段は後衛から弓矢で攻撃するために、MOBが至近距離から大口を開けて噛み付く瞬間のスクショにビクッとなってしまう。
 前衛はこんな恐ろしい瞬間を目にするのか、それにしても良く撮れたな、と思ってしまう。
「こっちのスクショは、ミュウちゃんたちの戦闘シーンね。カッコイイわね」
 次にマギさんが見るのは、ミュウとルカートが剣を振るって、敵MOBを斬り裂くスクショだ。
 楽しげに戦うミュウと凜々しくも微笑を浮かべるルカートの二人が格好良く映っている。
「……こっちは、この【コムネスティー喫茶洋服店】で注文したケーキのスクショです」
 食べる直前のケーキとお茶のセットメニューのスクショだ。
 女の子らしいチョイスに微笑ましく思う。
 そして——
「……これは。あっ!? み、見ちゃダメです!」
「ちょ、これは……似合ってるし、可愛いけど……」
「トウトビちゃんの私服スクショね。可愛いけど、エロ可愛ね」
 恥ずかしそうにするトウトビと俺とマギさんもスクショから視線を反らしながらも、チラチラを見る。
 スクショに映るトウトビは、俯き気味だが、肩出しのトップスとミニスカートの若干露出度のある衣装を着て、その自信のない雰囲気からエロ可愛い感じになっている。
「……ううっ、恥ずかしいです。見ないで下さい」
「こ、これはもう見ないから、他のを見ようか」
「そうね。あっ、こういうのもあるのね!」
 思わぬエロ可愛いトウトビの私服姿を見てしまった俺たちは、他のスクショを探す。
 他のスクショには、OSOのネタ装備でコスプレしたり、ミュウたち全員が統一装備を身に着けてポーズを決めたり、恥ずかしがるトウトビをミュウとヒノが左右から挟むように抱き締めているスクショなど、それらを見る度にトウトビがあたふたする。
「ねぇ、このスクショって、誰が撮ったの?」
「多分、ミュウさんかリレイだと思います。あと時々ヒノさん」
 なるほど、と納得しながらも、こうしてミュウたちが楽しそうにしている姿をスクショで見れて嬉しく思う。
「……他の人にスクショを見られるの、やっぱり恥ずかしいです」
「そんなことないって……って、うん? ちょ、これは!?」
「おおっ、これはユンくんだ」
 俺は、トウトビの貰い物のスクショを見ていたら突然、ミュウたちと関係ないスクショに変わる。
 そのスクショには、いつ撮られたか分からない俺の姿が映し出されていた。
 たまにクロードに頼まれて女物の装備モデルとして装備を着せられたり、気の緩んだ俺の姿が映ったスクショだ。
 敵MOBの不意打ちを受けて若干涙目になったり、【アトリエール】のカウンターに座って欠伸をしていたり、使役MOBたちとの触れ合いで眩しいばかりの笑みを浮かべていた。
「えっ、嘘。俺ってこんな表情してたの?」
「ええっと……結構、ユンくんは表情豊かだよね」
「って言うか、どこから俺のこのスクショを手に入れたんだよ!」
「……えっと、その、ミュウさんとクロードさんがくれました」
「ミュウ! クロード!」
 トウトビの告白に俺は、怒りの声を上げると共に、恥ずかしさからテーブルに顔を伏せる。
「ごめん。トウトビ、これ凄い恥ずかしい」
「……いえ、大丈夫です」
 そうして、ジタバタしている俺は、はぁと溜息を吐き出しながら顔を上げる。
「よし、もうこれ以上は盗み撮りされないようにしっかりしよう」
「……そう、ですね。恥ずかしいスクショが増えないように頑張りましょう」
「ユンくんとトウトビちゃんは、気にしすぎよ。それよりほら、投稿するスクショを選びましょう」
 自分のスクショを見て恥ずかしさから悶えた俺たちは、マギさんに促されて、お茶を飲んで落ち着く。
 その後、スクショを選びながら二人と楽しく談笑したり、俺のオススメ絶景スポットを教えたりして過ごした。
 最後は互いに気に入ったスクショを交換したり、そのスクショに負けないくらい素敵なスクショを撮るとトウトビが意気込んでいた。
 そして後日——
 ——スクショコンテスト最優秀作品【女の子たちのお茶会】投稿者:ミュウ。
 コンテストの最優秀作品は、あの日、俺とマギさんとトウトビの三人が喫茶店のテラスで大通りを背景に楽しげにスクショの話をしていた作品が最優秀賞を受賞した。
「ミュウゥゥゥゥゥッ——!」
 絶対に盗み撮りされないと誓ったのに、盗み撮りされた俺は、怒りと恥ずかしさから大きな声を上げてしまう。
 余談であるが、コンテストの入賞対象は、スクショの撮影者と投稿者、そして被写体プレイヤーも含まれるらしい。
 そのために俺とマギさん、トウトビは、限定アイテムを貰えたのだった。